おひとりさまの老後上野千鶴子 ¥ 1,470 通常24時間以内に発送 ★★★ |
おひとりさまの老後 | |
| 社会に鈍感な自己を普遍化しただけの本。 一応社会的地位があるとされているだけに、タレントの人生本よりもずっと性質が悪い。 こんなくだらない事を書き綴って、この人は社会を生きているのだろうか? 2回目、読み終わりました。一回目とは少し異なる印象を受けました。 まず、「おひとりさま」に関すること。 著者の上野先生は離婚経験のある方なのでしょうか?「おひとりさま」のさびしさを知りつくした上で、それなりにいいところもあるよ、という少し肩に力がはいった感じのメッセージでした。結局、既婚女性と独身女性との見えない闘いを表面化する結果になってしまうのかな・・・「シングルアゲイン」という言葉からわかるように、既婚女性が「おひとりさま」に戻ったときこの闘いは終わるのである。 次に、「老後」に関すること。時代は変わったのだなぁ、とつくづく感じました。2030年には65歳以上の女性の5人に1人は「おひとりさま」になるという予測・・・男性が配偶者を失うと前途に希望を失ってしまうのに対して、女性は喪失の悲しみも乗り越えて新たな人生を生きる。良妻賢母の役を演じてきた女性たちが、外に出て個性的な人生を楽しむ・・... | ||
代表的日本人 (岩波文庫)内村鑑三 ¥ 630 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
代表的日本人 (岩波文庫) | |
| 内村鑑三が明治期に、海外に日本を紹介しようと英語で執筆した本を、 日本語に翻訳しなおしたものが本書。言わば逆輸入本である。 かって日本人が精神的に強かった頃のお話である。 本書は5人の代表的な偉人を紹介するが、私が感銘を受けたのは 上杉鷹山と二宮尊徳である。 彼らは、傾いた藩の財政再建を見事にやってのけた。 しかも自ら率先して倹約・節約に励みながらだ! 現代政治家・官僚はそこを見習って欲しい。 そんなことを考えながら読んだ本でした。 是非とも国を担う人たちに配布して読ませたい。 大阪府の職員にも配った方がいいのではないか? いや配るべきは議員か? 議員の方が財政健全化にごねているみたいだから…。 わが社の社長も薦める本。日本人とはどうあったのか、どうあるべきなのかを作者の時代の観点で書かれている。といっても、現在でも通用する部分も多分にあるからおもしろい。 印象深いのは「上杉鷹山」と「二宮尊徳」。平凡な自分がもし万が一、一国一城の主になった場合に、参考にしたいのは「上杉鷹山」。決して難しいことをしているわけではない。当たり前のことを当たり前に行った、という印象。カリスマ、とい... | ||
ノラや (中公文庫)内田百けん ¥ 760 通常3〜4日以内に発送 ★★★★★ |
ノラや (中公文庫) | |
| 以前、内田百鬼園の年表を見た際、いつノラを飼いだして、ノラが失踪したかということがきちんと書いてあって笑ったことがある。(ノラ失踪後の百鬼園の悲しみぶりは、黒澤明が映画「まあだだよ」でもメイン・エピソードとして描いている。役者もそっくりなので、見てない方は一度どうぞ。) 僕にとっての百鬼園の随筆の魅力は、彼の人生の大部分を覆った借金苦や東京大空襲で焼き出された後の小屋住まいなど、決して順調に進んだ訳ではない日々の生活を、飄々と持ち前のユーモアでやり過ごしていくエピソードの数々にある。その分厚いユーモアの奥底には、何か得たいの知れない達観やシブトサさえ感じられるのだ。同時代の文学者が必ず書いた「女との恋愛」ではなく「猫への溺愛」を描く。東京大空襲には単に見物根性で最後まで付き合い、その見物記を本に纏める。(そこには戦後突然現れた反戦文学の要素など全く無い。) 薄っぺらいヒューマニズムやロマンチシズムとは次元の違うその感性は、全く不良ぶってはいないのに、実は徹底的に「無頼」ですらある。(この本の解説で、吉田茂(!)と犬猫談義をやった際の話が紹介されるが、そのエピソードからは彼の... | ||
私たちは繁殖している 8 (8)内田春菊 ¥ 1,260 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
私たちは繁殖している 8 ... | |
| 嫁・舅バトルはほとんど書かれず、子どもたちの生活中心の内容になってます。息子 Aくんの発言などがかわいらしく、微笑ましかったです。 家族旅行や子どもたちの学校のことなど、子育てマンガらしくなってきました。 これで、元舅さんの悪口が完全になくなればもっと楽しんで読めるんですけどね…。私が妊娠中に、興味深く読み始めた「わたはん」も、8巻までくると新鮮味はありません。 ほぼ「自分自慢」「子供自慢」の内容に、「(現在の)夫自慢」もプラスされていましたが、8巻の後半では、とうとうユーヤさんに飽きてしまった様子です。 今まで同様「大好き」「素晴らしい人」「みんなが振り返るほどいい男」から「嫉妬深くてイヤな男」「妻の留守中、家に女を引っ張り込む男」と散々な言われようです。 そして、春菊さんも今までと同じく「私は正しい」「私は頭が良くて人に好かれる」「私は金持ち」「私は何も悪くない」というスタンスを死守しています。 もし9巻が出版されるのなら、「新しいつれあいの紹介「5人目の誕生」の内容になるのでしょうか。いつぞやのように愚痴や身内間の確執はほとんど書かれてなくて、お子さんの合宿の事やご自分のお仕事... | ||
氷川清話 (講談社学術文庫)勝海舟 ¥ 1,050 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
氷川清話 (講談社学術文庫) | |
| 勝を嫌う人間は大抵が小説家の勝観が元であることが多い。 曰く、近藤勇を見捨て、会津を見捨てた男ということらしい。だが、勝を嫌う前に勝の置かれ た立場を考えるのが先決であろう。 ある意味勝の放言ばかりであるが、それだけではない勝自身の反戦観が書かれており 日清戦争を「兄弟喧嘩」という例えは優れているかもしれない。 言いたい放題言いまくった勝ではあるが、的を外さず厳しい警告は現代に相通じるものが あるのかもしれない。 勝海舟は幕末を30年生きた。自分を殺しにわざわざ自宅に来た竜馬を海外に目を向けさせ、西郷と談判して無血開城させ、大久保に東京の繁栄をたのんだ。 幕末から明治の生き証人は、維新後30年して、徳川慶喜を明治天皇に会わせることによって仕事に締めくくりをつけた。 本書は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」などを読んでおくと、人物評伝等はとても興味深く読めることでしょう。また、今日の政治のあり方や当時の時勢を知る資料ともなるでしょう。 しかし、今の時勢にこういう人はいない。貧乏は30まで続いて庶民の気持ちもよく分かるようだし、剣術・禅の稽古で胆力を鍛えたようだし、学問も「活(いき)(学... | ||
左岸江國香織 ¥ 1,785¥ 3,980¥ 1,250¥ 2,618 ★★★★★ |
左岸 | |
| 江國の描く「右岸」のコラボ作品。50年に及ぶ時を、少女から母へと人生を重ねていく一人の女性の視点から描かれている。「右岸」と交錯していく時間と、けして交わらない時間は「両岸」を挟む「河」と呼ぶべき、それぞれの生きる時間の隔たりを感じさせる。辻の描いた作品に比べ読みやすく、感情移入もしやすかったものの、生と死、激動する周囲の環境には窮屈な世界観を覚えた。物語の完走はそれぞれ一冊では洗わせられない。2冊あわせた1000ページを読み終えて初めて充実した気分にさせられる。大作です。幼少から、中年期になるまでのひとりの女性(茉梨)の生き様。そのなかで、変わってゆくもの(変わらざるを得ないもの)・全く変わらないもの。 茉梨の日常、様々なものや場所、男性との出会いと別れのなかで、それが溢れ出している。 人生という大河の流れに乗って思うさま、自由に生きる茉梨は、とうとう最後まで誰にも、どこにもとどまることはなかった。 そんな孤独も、この物語は鮮やかに描き出している。それが特に良かったと思う。 こんなに分厚い長編にもかかわらず、軽やかでみずみずしい、ちょっと切なくて、とても爽やかな読後感の物語。 まる... | ||
私たちは繁殖しているバトル (角川文庫)内田春菊 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★ |
私たちは繁殖しているバトル... | |
| 愚痴編と育児編に分かれているので、愚痴が苦手な人は読まずに育児のみ楽しむこともできるかも・・・。 私はこの愚痴は初めて読んだからか、あるいは自分が母であり嫁である立場だからか、春菊さんの愚痴には共感できました。 これを繰り返し聞かされたら閉口すると思いますが・・・。育児に関するエピソードは面白いのに、お義父さんへのバッシングは他の本でも読んだような内容ばかりで食傷気味。 それだけ腹に据えかねてるんだろうけど、同じネタをあちこちで書き散らすのは作家としてどうなのかなと疑問だなあ。 自分の鬱憤を晴らしたいだけで、読者を楽しませたいっていうサービス精神を全然感じないんだけど… そろそろ前みたいな読んでいて楽しくなる内容を増やして欲しいなあ。 ずっと愚痴につき合わされてる気分で辛いっす。 でも続き出たらまた買っちゃうんだろうな〜 | ||
黙 (新潮文庫)遠藤周作 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
黙 (新潮文庫) | |
| 鎖国した日本において、キリスト教を拡めようとした司教の物語です。 信仰心と慈悲の間で揺れ動く人間の心模様が印象的です。 かくも生真面目な生き方は現代的ではありませんが、ちょっと昔の生き方としてはある意味、共感します。 読み出すと止まらなくなった。一気に読み切った。 断っておくが小生はクリスチャンではない。 遠藤周作氏は芥川賞受賞後の37歳から、結核で2年もの入院をしている。 手術で7本の肋骨と肩肺を失ったが、「私が得たものは肩肺よりも、もっと大きなものだった」と語られている。 それは何か? 命に及ぶ大病との格闘を通して、悩める人や弱い立場にある人への温かな眼差しを獲得したということだろう。 その生死の極限から蘇生した著者の魂が綴られたのがこの「沈黙」だと思う。 残酷で非道な“穴吊り”という刑に処せられた切支丹の農民を救うため、司祭フェデリコは遂に”転ぶ”。棄教したフェデリコは岡田三右衛門という名前を与えられ、しばらく長崎に留められる。弱虫で臆病で卑劣、何度も転び、フェデリコをさえ売った五島出身の農民キチジローは、それでも岡田となったフェデリコのもとへさえ、告侮を聴聞して... | ||
古事記 (学研M文庫)梅原猛 ¥ 546 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
古事記 (学研M文庫) | |
| 実家が宮崎にあるので『古事記』を選びましたが、よく理解できてよいかもしれません。 『古事記』の歴史的評価はさておき、単純に物語として楽しめる一冊だと思いました。 梅原猛氏による「古事記」の現代語訳です。本居宣長でも「分からない」とした処は、本邦初アイヌ語を参照して解決の意欲作。単純に小説として面白いし、自国の神話を知って於くにも好い。古代史として読むなら訳者による解説がシャープな手掛かりを与えてくれます。 様々な現代語訳を読んできましたが、ここが到達点かもしれないと思えます。 国語学系のものは原典の用語用法に忠実であるあまり(語注にこだわりすぎ)、理解を助けるに不親切で、結局は別の解釈本が必要となります。 国文学系のものは、物語性や文学性(和歌など)に重点を置くために、状況のディテールなどに緻密さが欠け、あらためて原典にあたらなければなりません。 歴史学系は、訳者の思想性が強すて、意訳に近くなっています(とくに左翼系)。 文学系は(小説家や詩人)、まあほとんど創作ですね。 ──ということで、本書はこれまでの欠陥を補っているとともに、解釈の集大成ともなっています。他の訳書に寄り道... | ||
閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫)江藤淳 ¥ 612 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
閉された言語空間―占領軍の... | |
| この本は、アメリカがいかに「検閲」を行い、戦争に「勝利」し、日本を「占領」したかを描いた本です。 「軍国主義」の日本より、「自由の国」アメリカの「検閲」の方が、はるかに「厳格」ということが分かり、興味深いと思います。 それに加えて、「メディア」の問題も明らかになります。 「新聞」や「雑誌」は紙面では、「知る権利」「反権力」を売り物にしますが、実際は「自己保身」のために占領軍に「迎合」したこが明らかにされます。 そうであるかぎり、これからも「メディア」は「検閲」で出来た「言語空間」を守ろうとすると思います。 なぜなら、この「言語空間」が崩れると「メディア」の「罪(戦前、軍部に「迎合」した罪と占領軍に「迎合」した罪の「二重の罪」)」が暴かれるからです。 残念ながら、これが「敗戦」した国、日本の現実なのだと思います。 所謂戦後教育を受けた方に知ってほしい内容が詰まっています。 本書は、眼に見えない形で行われた戦後日本の思想教育を記した名書 です。GHQは戦後、日本人に戦争贖罪意識を植付けるために検閲を周 到に準備し実行しました。自虐史観の日本国憲法に始まり、学校教科書 からはアメリカ... | ||
海舟語録 (講談社学術文庫)勝海舟 ¥ 1,050 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
海舟語録 (講談社学術文庫) | |
| 老いた幕末の大立者が気ままに語り散らす 気分爽快・気宇壮大の一冊、 という点では「氷川清話」と同じだが、 より肉声に近い編集になっている。 ただその分散漫で読みにくいかも。 ちなみに若い頃の顔写真によく似ているのが スター歌手の郷ひろみ。 というわけで、郷さまも読んでね!! 明治28年から32年、勝72才から76才で亡くなる直前まで、ジャーナリスト巌本善治氏が勝の自宅に通って直接聞き書きした談話録である。司馬の小説で度々引用されるので興味をもって読んでみた。 日清戦争など明治30年ごろの政局に関する話題と、明治維新の昔話が多いが、なんといっても明治維新の話題が大変興味深い。鳥羽伏見の戦いで徳川慶喜が大阪城を捨てて江戸に逃げ帰った日の話とか、勝と西郷の江戸城無血開城の日の話とか、維新の裏話が満載である。 江戸時代までの武士の時代と、明治以降の近代は、どういうわけか筆者のイメージの中では完全に断絶していて、どちらも同じ日本の話であるという実感が持てなかった。しかし、勝のべらんめえ調の話し言葉は今とそんなに変わらない。そのべらんめえ調で、「河上彦斎はすぐに人を斬るひどい奴だった... | ||
冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)江國香織 ¥ 480 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
冷静と情熱のあいだ―Ros... | |
| 他の人のレビューに、ダラダラしているっていうのがあったけど、同感。途中で挫折することって少ないんだけど、これはダメだったなあ。三分の一くらいまで読んで、あまりの展開の遅さにイラっとして放り投げてしまいました。冷静と情熱のあいだ。 辻仁成さんと江國香織さんの別れてしまった男女の10年の物語をそれぞれの視点で描いた 同名タイトルの同時執筆作品。 私は江國さんの作品から読みました。 あおいという女性像は、深い湖のような静かさと青白い炎の両面を合わせ持っているような、 江國さんらしいキャラクター設定だと思いました。 あおいには海外で暮らしていたこともある江國さん自身も混ざっているような気がします。 同時執筆という実験的作品がどうなるのか興味津々で読みました。 実際の恋愛も別々の人間が出会うところから始まるわけで、実際の恋愛に近しい形で執筆がなされたのだと思います。 現実も二人で一つの人生を生きていても、そこに二つの物語が生まれるのだと妙に納得しました。 実験は成功だったと思います。江國香織と辻仁成がともに、主人公の「あおい」と「順正」の立場で書き上げた恋愛小説。二人の異なる作家が、一つの... | ||
パノラマ島綺譚 (BEAM COMIX)江戸川乱歩 丸尾末広 ¥ 1,029 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
パノラマ島綺譚 (BEAM... | |
| 乱歩は大好きですが、正直丸尾末広は好きじゃなかったので買うのためらいました。というのも、氏のエロ・グロ・スカトロ写が苦手で、うちに置くのもおぞましかったからです。けれどもあまりに美しい広告のイラストに乱歩とくれば黙ってはおれず、思わず買ってしまいました。感想は星の数にもあるとうり、素晴らしいの一言です。他の方も書いていらっしゃるように、後半のパノラマ島描写はひたすら圧巻で、モノクロ印刷を忘れるほどの鮮やかさです。心配していたエログロ描写も他の丸尾作品に比べると全く気にならず、すんなり読めました。乱歩の世界が見事に表現された一級品です。私は小説を読まずに、こちらを読みました。人間の欲。汚らしい部分を隠さずさらけ出していて、正直目のやり場に困る場面が多い。電車では絶対に読めない(^_^;)けれど、その赤裸々が江戸川乱歩の伝えたいものなのかな…。江戸川氏の作品は最近読み始めたので偉そうなこと言えませんが、醜くくて美しいこの一言ですね('-^*)すべての江戸川乱歩作品を丸尾末広の手でコミックにして欲しいと、すぐさま思った。 + 丸尾末広の『パノラマ島綺譚』は、少年が出てこない。丸尾末広の少年... | ||
きらきらひかる (新潮文庫)江國香織 ¥ 420 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
きらきらひかる (新潮文庫) | |
| 主人公が好きになれるかならないかで、この本の評価は変わると思います。 私は若干笑子にイライラしてしまったので、何回も読み返すことはないと思います。 笑子の情緒不安定さが、わからなくもないけどたまに痛々しすぎるというか。 それと皆笑子に対して好意的過ぎるので、うまくいきすぎてるなという感想を持ちした。 作品自体の材料と雰囲気はなかなか素敵だと思います。 もう少しうまく生かせるとなお良かったのではないでしょうか。 そして、良くも悪くも女性的な作品だと思いました。「変態」の定義ってなんでしょう? 世の中なんでもありだなと思わされてしまいます。 絶対にありえない人間関係でしょうけど。 というか、小説だからありえる人間関係なんですよね。 そう思うと少し冷めてしまいました。 ある一面では無機質なイメージの2人の生活空間は結構好きだったりします。 江國さんの作品には、一時期はまりました。主人公のあやうさが、とても魅力的なのですが、是はちょっと行き過ぎですね。ホモの医者が、それを隠すために偽装結婚する。アル中でヒステリーの主人公を、都合良く助けてくれる。女性の都合のいい妄想だけでできあがった作... | ||
イエスの生涯 (新潮文庫)遠藤周作 ¥ 460 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
イエスの生涯 (新潮文庫) | |
| 遠藤さんは、お父様、彼らをお許しください、彼らは自分たちが何をしたか、わかってはいないのです、というイエスの言葉を、お父様、彼らをお許しください、彼らは愛し方を知らなかったのです、と解しておられた。 そもそも、愛、とは何なのでしょうか。目には見えないもの、実際には役に立たないもの、そう遠藤さんは言っておられたような心持がするのだが。 障害を抱えている私にとって、出来ることなら、この障害から逃れたい、「普通」になりたい、という思いがあることは否定できない。しかし、もし、本当にイエスのような奇跡を行う方が、目の前に現れ、自分の障害を取り除いて下さったら、私は本当に幸せになれるだろうか? 生れ落ちてからこの方、自分はずっと、障害を背負ってきたのに、それを、「暴力的」、と言ってもいいほどに取り除いてしまったら、「なんだ、僕をバカにしているのか! 苦しんだ僕の二十何年は、いったい、なんったのか、僕の時間を返せ!」と、かえって憤慨してしまうかもしれない。それよりも、遠藤さんのおっしゃるとおり、僕の苦しみを一緒に苦しんでくれるイエスのほうが、よほど愛にあふれている。自分の幸福など、目もくれず... | ||
怪人二十面相 (少年探偵)江戸川乱歩 ¥ 630 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
怪人二十面相 (少年探偵) | |
| 推理の妙を効かせるお話かな・・・?と思いきや、そうでもありません。むずかしい理屈は抜きにして、とにかく何度も、「あっ!?」と驚くどんでんがえしが起こります。捕まえた、と思いきや捕まえておらず、ピンチかな、と思いきや今度は優勢に立っていたり・・・とにかく展開がめまぐるしく、また動きがたくさんあるけっこうアクション系のお話かな、と思います。頭脳をはたらかせる推理部分も、舌を巻くようなすばらしい出来ですが、そこだけをくどくどと説明することなく、簡潔にとてもわかりやすく書いているので、子どもにも理解しやすく、親しみやすい作品となっています。 何より、この作品に登場する明智小五郎探偵は今、とっても人気のコナンの漫画で親しまれているし、明智探偵の手下であり、主役的存在の勇敢な小林少年が小学生ということもあって、子どもには魅力的な要素がたくさんつまっているのです。犯罪が起こるからといって、この巻には残虐なシーンや殺人などは起こりませんし。 字は多めですが、注の付け方もわかりやすく、無理なく難しめのことばに慣れるための教材としてもいいかもしれません。楽しみながら読めますので。 と、子供向けにどうか... | ||
後世への最大遺物・デンマルク国の話 (岩波文庫)内村鑑三 ¥ 525 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
後世への最大遺物・デンマル... | |
| ●後世への最大遺物 内村鑑三先生が、若者向けに 「何を後世に残すか? 金?事業?思想?」 を講演した講演録。 途中、恩師のクラーク先生(「少年を大志をいだけ」の)のくだりが出てきておもしろい。 ーーーーーーーーーーーーーー クラーク先生を第一等の植物学者だと思っておりました。 <中略> ある学者が、クラークが植物学について口を利くなどとは不思議だと笑っておりました。 <中略> とにかく先生は非常な力を持っておった人でした。 どういう力かといいうと、すなわち植物学を青年の頭につぎ込んで植物学という学問のInterrestを起こす力を持った人でありました。 ーーーーーーーーーーーーーー ●デンマルク国の話 狭い国土をドイツとの戦争に敗れて、3割方失ってしまったデンマルク国、残されたものは荒れ果てた北海道の半分くらいの土地だけ、その国が何によって、世界に胸を張れる大国になったか? 一人の敗軍の兵士ダルガスが、 「外に失いしものを内において取りかえさん。我らの世代であの荒野をバラの花のさく豊かな土地にするのだ。」と叫び、祖国復活の掛けに出たのです。 哲学... | ||
今、親に聞いておくべきこと上野千鶴子 藤原ゆきえ 田島安江 ¥ 1,260 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
今、親に聞いておくべきこと | |
| 本書の第1章「今、聞かなければ間に合わない!」の中で、こんな話しがある。 突然、母親に先立たれた娘が、悲しみからようやく立ち直った頃、急に母の煮物が食べたくなったものの、いろいろと試してみても「母の味」が再現できないことに気付き、愕然とした。 「どうして、生きているうちに作り方を聞いておかなかったんだろう」。 本書では、このように遺言書に記すほどのことではないが、故人となり、聞けなくなる寂しさが募るようなことを聞くことの意味に始まり、どんなことを、どう聞けばいいのか、が丁寧に提案されており、いざ、聞くとしても、どんな段取りをすればいいのか思い描けない方でも、聞き書きのための大まかな流れを作ることが出来るだろう。 しかし、本書でもっとも大切なことは、親への聞き書きの過程で必ず登場する「自分」の話しを聞くことによって、今までは気付かなかった自分を発見することであり、また、親と語り合う「いま」という時間、そして、語り合うことが叶わなくなるまでの「これから」の時間を、どれだけ意義のあるものにするか、ではないかと思う。 そして、その使い方は「親と子」に限定することなく、「兄弟」でも構わ... | ||
深い河 (講談社文庫)遠藤周作 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
深い河 (講談社文庫) | |
| 久しぶりに読んでみた。 言葉に出来ない想いがずっと横たわっている。 最初に読んだのが恐らく10年以上前だと思うけども、やっぱりそれから歳を重ねると、書いてあることの受け止め方と重みがぜんぜん違うし、とても良かったぞ。 ましてや、あの時はインドに行った直後に読んだので特に印象深い本であったのだ。 遠藤周作は、ご存知のようにカトリックの信者であった。戦後初の交換留学生としてフランスに渡り、そこで彼が感じた西欧カトリックの歴史の中での「在るべき」姿から、自分の形に信仰を落とし込むまでの苦悩が遠藤周作にはあったようだが、その彼の姿がこの本にも主人公に変えて書き込まれている。 カトリックでは認められない「輪廻転生」という概念と、現在のインドでのヒンズー教信仰。どこでそれがつながっていくのかという人間と人間。そこには全ての宗教をも包み込む概念としてのガンジス河があった。 インド人にとっては母なるガンジス河。すべての人生の苦悩と矛盾を抱えながらその河に流されいく死者。そこにカーストをも外れた人間のために自分を差出すカトリック神父。イエス・キリストが全ての人間の罪を背負って最後は十字... | ||
源氏物語 1 (1) (新潮文庫 え 2-16)紫式部 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
源氏物語 1 (1) (新... | |
| ようやく大活字版で再版しました、円地文子さん訳「源氏物語」です。 国文学者玉上氏(この方は角川版源氏物語を訳されている)の力を借りて 5年の年月をかけて全巻現代語訳した労作。 非常に格調の高い訳文で一番読みやすい源氏物語だと個人的に思います。 この訳文の特徴は訳者本人の主観の訳を所々に忍ばせてあること。 もっとも本文を改変するのではなく奥行きを深くしたり 現代人にわかりやすい表現であって却って良心的な改変でしょう。 例をあげるなら若菜の「男女の仲が狭まる(直訳)」→「世の中が狭まる(円地訳)」 玉上さんが源氏物語訳注の解説で「男女の仲は平安女性の世の中に等しい」と おっしゃっていたのを後に読み、「なるほどなあ」と感心した訳文です。 レビューで書きましたとおり玉上版源氏物語とリンクした訳文です。 両者を比較するのも楽しいです。 当然単品で読んでも十分源氏物語の真髄を味わえる名文ですので 源氏物語初心者にもお勧めします。 | ||